施設長よりご挨拶

 故郷苑の経営環境は時々刻々と変化します。
国家としての福祉政策も転換期を迎え、地域環境や経済の先行きまでもが小さな故郷苑に影響を及ぼします。
だからこそ、例えこんな小さな故郷苑でも中・長期的な経営計画を策定することが必要不可欠です。

第2期中期経営計画

(平成23年6月1日から平成26年5月31日)

前期総括

第1期中期計画の最大の目的は経営の健全化と安定化でした。
 ハートピア故郷苑を設立した母体企業は乱脈経営を続けた挙句にその運営を放棄したため、元職員の有志が手弁当で運営を継続し、ご入居者様の最低限の生活を維持しました。
その後、建物主と賃貸借契約を正式に締結し、動産を譲り受けることによって正式に株式会社かずさケアーサポートでの運営が始まりました。
ご入居者様のご協力、お取引業者様のご協力の下、経営の健全化と安定化を図ることが出来ました。

故郷苑の経営環境

①地理的要因
故郷苑は千葉県庁に近い位置に所在し、交通の便はとても良い立地になっています。従来の郊外型老人ホームではなく、都市に組み込まれた老人ホームであって、より現実的な立地と言えます。
総武線を交通インフラの中心に考えたとき、東京都23区の東部から千葉市までは一体化した地域であり、ご入居者(予定者)の利便性を考え合わせれば、これら地域全体を故郷苑の商圏として捉えることが出来ます。
これら地域は新しいマンション群の建築などもあり若年層人口を含む人口全体が増加を続ける地域ですが、一方で都市型生活の結果として独居老人も増加しています。
独居老人の多くは経済的にも必ずしも裕福ではなく、介護難民予備軍であると言えます。
②業種的要因
介護保険は10年を経て大きく見直す時期に来ています。
また、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震と大津波から福島第一原発事故までの一連の大災害は、国の財政をも左右する一大事であり、将来の財政出動に強い影響を及ぼします。当然、介護報酬の見直しや生活保護基準の見直しが図られることでしょう。
一方で強い資本を背景に異業種からの参入は続いています。
③資本的要因
故郷苑の資本は脆弱です。今の施設を維持するには十分ですが、新しい事業を展開するには乏しく、地域の金融機関との連携を深めることによってこれを補う必要があります。
④人的要因
老人ホーム事業は人的依存の強い事業です。
人材を自ら育てることと福利厚生を充実させることにより魅力的な人材の確保に努めなければいけません。

解決を要する問題

①事業規模の拡大
故郷苑はすでに満床になっており、このままでは事業の拡大が見込めません。
②建物の老朽化
故郷苑が所在する建物は老朽化しており、10年間を目処にして建て替えなければなりません。

計画骨子

①現在の事業の内容的増強
介護サービスの充実を図るための社内研修の拡充
職員福利厚生の充実による人材確保
訪問医師・訪問歯科医師・地域医療機関との連携
行政との連携
ホームページによる積極的な情報開示
業界のイニシアティブリーダーを目指しての情報発信
②故郷苑が所在する建物部分の買取り
③2階部分での増床工事
④ハード面に依存しないソフト面での新規事業起業
他の業態との合弁によるソフト事業の起業

時期計画への遠望

①故郷苑が所在する建物部分の上にあるマンション部分の買取り
②マンション部分での軽易安価な高齢者向けサービスの構築
自立を目指す高齢者の補助者としての介護
③建て替え準備に要する代替地代替建物の確保
建替後の代替建物での継続運営も視野に入れる
④マンション部分と一体化した施設運営の構築と建て替え
防災や独居老人対策などを独自に構築する地域一体の開発